うつエッセイ〜5〜復職
約1ヶ月の休職で少し元気を取り戻した私は、
「3ヶ月間の残業禁止」
「休日出勤の禁止」
という条件で復職を果たしました。
「もっと休んでもいいと思いますよ」という
主治医や上司のアドバイスを振り切っての復職でした。
自分のペースでゆっくり仕事をするから大丈夫。
そう思って会社に着いたのですが、現場に戻った私は焦っていました。
忙しく動き回る職場。
封印するはずだった、頼まれたら断れない性格。
いつの間にか、自分の体調より何より、ご迷惑をおかけした分、
そのお詫びの意味も含めて早く仕事に完全復帰したい。
そんな思いが募り、気がつけば今までとほぼ変わらないスタイルで
仕事を始めていました。
忙しく働きまわる周囲に巻き込まれて、
自分自身を再び見失い始めていたのです。
とにかく必死でした。休んだ分、遅れを取り戻さなくちゃ。
それはもう焦燥感の塊でした。
しかし、そんな状況で仕事をして
スムーズに仕事が進むわけがありません。
元気だった頃の感覚で仕事をしようとするのですが、
心と体がついていかないのです。
1ヶ月休んだ分の心のゆとりは、あっという間に使い果たし、
やはり、休職前と同じ壁にぶち当たりはじめました。
いえ、正確にいえば、悪化していきました。
苦しい思いをしながら必死に新聞を読んでいても、理解できない。
ケアレスミスや物忘れがひどい、
さっき受けた指示や会話を思い出せない。
集中力が続かない。
人ごみに酔う。
復職から丸4ヶ月が過ぎたある朝、とうとう新聞が読めなくなっていました。
文字が情報として読み取れなくなくなっていたのです。
気がつけば、会社で一人泣き叫んでいました。