「男はつらいよ」のおばちゃん 三崎千恵子さんが亡くなった。
とある映画専門チャンネルで「男はつらいよ」が全作品放送され、
「おばちゃんは元気かなぁ・・・」と思っていた矢先の訃報。90歳の
往生とはいえ、ファンとして本当に寂しい。
着物の似合う、下町のおばちゃんという役回りがぴったりな役者さん
だったと思う。
日本人は「男はつらいよ」が好きだ。いや、寅さんが好きだ。
でも、それは、おばちゃんをはじめとする車家ファミリーの力だろう。
いい年して渡世人。いつも食わねど高楊枝。少々粋だが恋ばかり。
こんな人が身内にいたら確かに厄介極まりない。
でも実は私達は心のどこかで、凡人には出来ないその生き方が
羨ましいと思っている。おかしい、おろかだと笑いながらあこがれる。
そんな私達の気持ちを見透かすかのように、おばちゃんやおいちゃん
の演技は、見ている人ををとらやの茶の間に引き込む。瞬く間に観衆を
寅さんの“身内”にしてしまうのだ。タコ社長(故・太宰久雄)とケンカする
寅さんを涙を流して止めるおばちゃんやさくら。博。老眼鏡を片手に
「またか」と呆れた顔をするおいちゃんは、実は私達一人一人なのかも
しれない。
三崎さんがお亡くなりになったことで、今現在健在なレギュラー陣は・・・
満男(吉岡秀隆)諏訪博(前田吟)諏訪さくら(倍賞千恵子)あと、源公
(佐藤蛾次郎)ぐらい・・・心の故郷が遠くに遠くに行くようで寂しくてならない。
三崎千恵子さんのご冥福をお祈りします。合唱